杏林大学医学部付属病院 整形外科 先輩医師に聞く 医局員の日常
患者さんの笑顔を原動力に
目指す医師像を体現する先輩に学ぶ
初期研修修了後、専門を決めるうえで決め手となったことは何なのか、整形外科のやりがいや専門性を高めるための臨床での学び、目指す医師像などを、当科に入局した先輩医師に伺います。
臨床と基礎研究が
両立できる環境で
博士号取得を目指す
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杏林大学医学部付属病院
整形外科 医員 - 小西 一斉 先生
初期研修、後期研修をどこで受けられましたか?
私は2008年に杏林大学医学部を卒業し、杏林大学医学部付属病院で初期研修、後期研修を修了しました。その理由は、学生時代から病院の雰囲気が好きだったこと、育ててもらった大学に恩返しができればと思っていたからです。
当院は診療科内だけでなく他科とも密に連携しており、他科の先生から直接電話でコンサルトを受けることも少なくありません。これは患者さんにとって大きなメリットだと思いますし、医師の立場からしても、大学病院でありながら、患者さんのことを第一に考え、かつスムーズなやりとりができる環境は非常に魅力的だと思っています。
整形外科に入局した理由、魅力を教えてください
後期研修で所属を決めるときに悩んだのが、開業している父と同じ眼科に進むか、初期研修で一番興味を持った整形外科に進むかでした。整形外科は専門性が細かく分かれており、幅広い年齢層、疾患を診る診療科であることの多様性に惹かれました。
また、父から学んだことでもありますが、医師には生命を救うことだけでなく、「ADLを維持、向上させる」という使命もあります。高齢の患者さんから「ありがとう」と言ってもらえたこと、元気になって退院していく姿をみて、非常にやりがいを感じました。
特に私が専門にしている脊椎は、高位診断のおもしろさが魅力です。例えば、検査画像をみなくても、人の身体をみれば脊髄のどこに障害があるのかがわかります。また、神経に関わる手術は、手術後に全身の力が抜けてしまうほどの大きな緊張を伴います。体力的にも決して楽ではありませんし、正直なところ、つらさを感じることもあります。それでも、自分が手術を担当した患者さんが笑顔で退院していくのがみられたときには、“がんばろう”という気持ちになります。それが私の原動力であり、整形外科の醍醐味だと感じます。
医局の雰囲気や特徴について教えてください
整形外科は幅広い領域をカバーしており、毎日新たな学びがあります。私が所属している脊椎チームの先生方だけでなく、他チームの先生も私の質問に快く答えてくれますし、そんな先輩たちの姿をみて、5年後、10年度、「こんな医師になれるようにがんばろう」と思っています。私は脊椎チームのなかで一番若いのですが、教授にも気にかけてもらっていますし、フランクでやさしいので、やりやすい環境だと感じています。
後期研修で整形外科に来たときに驚いたのは、チームに関係なく、先生方が研修医の名前を知っていたことです。病棟で「いまから検査に入るけど一緒に行かないか」と声をかけてもらったり、手術を見学させてもらったり、研修医にできるだけ多くの臨床を経験してもらいたいという先輩たちの思いが伝わってきました。先輩たちが私にしてくれたことを新しく入局してくる後期研修医にも経験してもらいたいと思っています。
ただ、仲が良いだけではなく、厳しい指摘を受けることもあります。言われたことはしっかり反省しますが、先輩たちがそれを引きずらないので、嫌だと思ったことはありません。こういう医局の雰囲気は外にいてはわからないところかもしれませんが、厳しさのなかにも面倒見の良さ、やさしさを感じます。
現在はどのようなことに取り組まれていますか?
現在は、外来や病棟、手術など、臨床がメインです。そのなかで大切にしているのは、患者さんが何を求めているのか、何に困っているのかを一番に考えることです。主訴は痛みであっても、ただ痛みを取ることだけを考えるのではなく、痛みで困っていることは何なのかを探り、それをふまえて治療方針を決めていくことが大事だと思います。
治療に“絶対”はなく、例えばがんの場合なら切除するのが必ずしも正しい選択とは限らず、また手術にも様々な術式があります。同じ脊椎狭窄でも金属製の器具で固定すべきか、骨切り術をすべきか、治療後の生活も見据えたうえで選択をしていくことが大切だと思っています。
臨床の一方で、基礎研究の教室とのコラボレーションによる研究にも取り組んでいます。博士号を取るには大学院に行くのが一般的で、確かに一定期間研究に集中できるのはメリットだと思います。しかし、一方でその期間中は手術に入ったり、臨床の専門的な治療に携わったりすることは難しくなります。私は積み重ねた経験が一度切れてしまうことを避けたかったので、少し欲張りかもしれませんが、臨床を続けながら研究もし、博士号を取得したいと考えました。
私と同様に、外科を希望するからには、手術の経験を積みたい人も多いと思います。その両立を認めてくれるのはとても魅力ですし、毎日が充実しているとは感じても、大変だと思ったことはありません。医局の皆さんにもサポートしてもらっていて、お互いに助け合える環境があるので、両立している人が多いです。
1週間のスケジュール
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | |
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午前 | 外来 | 手術 | 外勤 | 外勤 | 手術 | 脊髄造影 検査 |
休 |
午後 | 病棟* | 手術 | 病棟(研究) | 外勤 | 手術 | 脊髄造影 検査 |
休 |
*教授回診、カンファレンス
今後の目標を教えてください
杏林大学の整形外科は何でもできるのが強みだと思っています。国内外への留学もできるので、大学だからこそできる高度かつ専門的な医療を提供できるように各地で研鑽を積み、その経験と知識を大学に持ち帰りたいと思っています。そのためにも、現在行っている基礎研究をもとに博士号を取得するのが当面の目標です。
最後にメッセージをお願いします
整形外科に限らず、外科領域は体力的には確かにきついと思います。しかし、やる気があれば何でもできるのが当科の良いところで、結果は後からついてくると思います。整形外科はやる気がある人たちばかりなので、一緒に学んでいくことができます。整形外科に興味があれば、まずは見学に来てください。
2018年3月掲載
研修医のための大学医局紹介一覧
大学医局でのキャリアについて、それぞれの特色を教授・医局長・先輩医師に伺いました。
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- 岐阜大学医学部附属病院 整形外科
- 教授/秋山 治彦 先生
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- 杏林大学医学部付属病院 整形外科
- 教授/市村 正一 先生
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- 埼玉医科大学国際医療センター 脳神経外科(脳血管内治療科)
- 教授/神山 信也 先生
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- 順天堂大学医学部附属順天堂医院 乳腺科
- 教授/齊藤 光江 先生
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- 藤田保健衛生大学病院 総合消化器外科
- 教授/宇山 一朗 先生
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- 北海道大学病院 脳神経外科
- 診療講師/医局長/長内 俊也 先生