勤務医がいま知っておきたいお金の話

高収入である医師。生活水準も高く、支出が多いことから、十分な資産形成ができていないケースも少なくない。医師が生涯職であることから老後への不安感も希薄といえる。しかし医師であっても病気などで働けなくなったり、死亡したりするリスクがあるし、子どもを医師に育てるなら教育費も莫大な額にのぼる。勤務医に適した資産形成、さらには確定申告で節税を図る方法について考えたい。

  • 現状と必要額を把握

教育費や老後資金…。将来の安心を築くには
年収の20~25%を貯蓄、できているかをチェック。

スキラージャパン株式会社
取締役副社長
ファイナンシャルプランナー(CFP)
伊藤 亮太
慶應義塾大学卒業後、証券会社の営業・経営企画部門などを経て、2007年にスキラージャパン設立。個人の資産設計を中心としたマネー・ライフプランニングの提案・サポート等を行うと同時に、企業やオーナーに対する経営コンサルティング、相続・事業承継設計の提案・サポートを主に行っている。個人からの相談の半数を医師が占める。マネーに関する講演、執筆、取材対応でも活躍。東洋大学経営学部非常勤講師も務める。

伊藤 亮太 写真

現状を認識

手取り年収はいくらか、
貯蓄はどうかを知る

医師は一般的な会社員に比べて高収入。それは間違いないのだが、年収が高くなるほど税や社会保険料の負担も重くなり、手取りは思ったほど多くない、ということもある。

ファイナンシャルプランナーの伊藤亮太氏は、「年収の水準や家族構成などで異なりますが、所得税、住民税、社会保険を除くと、額面年収1000万円の場合で手取り年収は7割強、年収1500万円では7割を切るのが普通です」と話す。額面年収1000万円で手取りは730万円程度、年収1500万円では1040万円との試算もある。思っているより手取り年収は多くない、というケースもあるだろう。

また勤務医の場合、開業医や会社役員と比べて年収の相場には上限がある。図表1でもわかるように平均的には50代をピークに年収は下がる傾向にあり、30代半ば以降で子どもが生まれれば大学進学時には年収は減っていることになる。

将来のためには貯蓄も必要だが、「医師は生活レベルが高く、高収入でも十分な貯蓄ができないことが少なくありません」(伊藤氏)。図表2では年収1250万円~1500万円の世帯の貯蓄総額が約3000万円などとなっているが、ご自身の資産状況と比べてどうだろうか。

「額面年収が1000万円なら20%、1500万円を超える人なら25%は貯蓄に回したい。まずはそれができているかを確認し、できていない場合は支出を見直すといいでしょう」

教育費と老後

子どもを医師にするなら
7000万円〜1億円

教育費・老後資金は人生の2大支出とされ、このふたつをどう準備するかが家計の鍵になる。

教育費は図表3のとおりで、幼稚園から私立の場合、高校卒業までで約1800万円。さらに医学部に進む場合の費用は図表4が平均で、私立では初年度だけで約750万円。2~6年目に入学金を除く618万円が毎年かかると仮定すると、6年での総額は3800万円を超える。

「医学部進学のための予備校に年数百万円など、子ども1人を医師にするのに7000万円~1億円程度かかることも珍しくありません」

国公立では費用が抑えられるが、私立を想定しておくのが安全だ。

リタイア時期と生活水準で
必要な額が決まる

老後資金はいつリタイアするかによって必要な金額が異なる。医師は生涯職であり、長く現役を続ければ老後資金も少なくていい。実際、半数以上の医師が65歳以降も働くことを望んでいる(図表5)。とはいえ、身体的な理由などから予定外にリタイアする可能性もあるので、余裕をもって準備しておきたい。

毎月35万円程度あればゆとりある老後が送れるといったアンケート調査もあるが、「生活水準が高い医師の場合はそれでは足りない印象。リタイア後に送りたい生活にはいくらかかるかを考えてみてください」

必要な額は、毎月の基本生活費のほか、大きな旅行や自宅のリフォーム資金といった一時支出、さらに病気やケガ、介護などに備える資金の合計となる。公的年金で足りない分は私的に準備する年金や資産(貯蓄)で賄うことになるので、計画的に準備を進めたい。

図表1● 勤務医の平均年収
年齢 男性 女性
24歳 482万円 478万円
25-29歳 710万円 632万円
30-34歳 1,013万円 968万円
35-39歳 1,187万円 1,193万円
40-44歳 1,538万円 1,259万円
45-49歳 1,657万円 1,365万円
50-54歳 1,807万円 1,517万円
55-59歳 1,807万円 1,588万円
60-64歳 1,659万円 1,430万円
65-69歳 1,610万円 1,516万円
70歳~ 1,268万円 739万円
平均 1,300万円 1,081万円
厚生労働省「平成28年賃金構造基本統計調査」より
図表2● 年間収入階級別1世帯当たり貯蓄総額
年間収入 貯蓄額
800~900万円 1,797万円
900~1,000万円 2,077万円
1,000~1,250万円 2,361万円
1,250~1,500万円 3,004万円
1,500万円以上 4,494万円
総務省「平成28年賃金構造基本統計調査」より
図表3● 学校種別の学習費
公立 私立
幼稚園/年 222,264円 498,008円
小学校/年 321,708円 1,535,789円
中学校/年 481,841円 1,338,623円
高等学校(全日制)/年 409,979円 995,295円
すべて公立/私立の場合の総額試算 5,272,500円 17,710,512円
(注)幼稚園から高等学校の数値は平成26年度の年額。試算欄は編集部計算
平成26年度・文部科学省「子供の学習費調査」より
図表4● 医学部初年度納入金平均額(平成28年度)
(円)
国立(中間部) 公立(地域内) 公立(地域外) 私立
入学金 141,000 250,625 549,857 1,273,333
授業料 267,900 540,450 541,114 2,749,167
初年度納入金 408,900 921,599 1,218,713 7,455,537
国立/初年度納入金=入学金と授業料の合計金額
その他/夜間を含む。公立大で地域内・外の区分がないところは地域内に含む。
入学金と授業料は内訳として表示。そのほか実習費等を合計したものが初年度納入金。
大学によって別途徴収する講演会費用等は含まれていない。
旺文社 教育情報センター(平成28年9月1日)資料より転載
図表5● 医師として何歳まで働きたいですか?
本誌会員アンケート調査(2016年5月)より
図表6● 引退後の老後資金の考え方
  • 賢く備え&資産形成

死亡や働けないリスクに十分かつ合理的な備え。
資産形成は確実、堅実に有利な制度を活用する

万が一の備え

死亡保障の目安は
子ども2人で1億円

病気、死亡など、もしものための備えも考えておきたい。

まず考えたいのが、死亡リスクである。18歳以下の子どもを遺して父親、または母親が死亡した場合、配偶者には遺族年金が支給される。家族構成や加入状況等で支給額はさまざまだが、多くても200万円にはならないので、これだけでは生活できない。不足する生活費と教育費については貯蓄や保険で準備しておく必要がある。とくに子どもを医学部に進学させるには前述のように1人1億円程度かかるケースもあり、保険で準備しておくべき額も大きくなる。保険料が多額になると貯蓄に回せる額が減り、死亡への備えばかりが充実、ということにもなりかねない。貯蓄と保険のバランスをとるためにも、保険については保険料が抑えられた『逓減定期保険』や『収入保障保険』を選択肢にしたい。

逓減定期保険は保障額が年々減っていくタイプ。子どもの成長とともに必要な保障額は減っていくので、合理的(図表1)。収入保障保険は保険金を一度にまとめてではなく、年金形式で受け取るもので、年数を経るごとに受取期間が短くなるため、逓減定期保険同様、保障額が減っていく。このような合理的な商品性により、比較的安い保険料で大きな保障を得ることができるわけだ。

「子ども2人を医学部に進学させる予定なら、1億円程度の保障を得ておくとよさそうです」(伊藤氏)

意外と忘れがちなのが、病気やケガなどで働けない場合の備えだ。勤務先を通じて健康保険に加入している場合、休業してから最長1年6カ月、給与の最大2/3程度が支給される『傷病手当金』がある(非常勤など個人で国民健康保険に加入の場合は給付なし)。勤務先によってはさらに手厚い給付の制度もあるので確認しておきたい。

それでは足りないという場合は、自身で保険に加入し、プラスαの備えをする。保険医協会の『保険医休業保障共済』では、1口2500円~3700円の掛け金(年齢による)で、6日以上連続して休業した場合、6日目から1口日額6000円(入院の場合2000円加算)の給付が受けられる。長期に及んだ場合や死亡の場合も別途保障がある(図表2)。

医療事故、訴訟に備え
賠償責任保険に加入

もうひとつ考えたいのが、賠償責任保険である。医療事故による賠償費用、訴訟費用などを補償するもので、とくに手術をする医師では必要性が高い。勤務先がまとめて加入していることも多いが、非加入の場合は自身で加入しておきたい。保険医協会の『医師賠償責任保険』では、1事故につき1億円限度の補償に勤務医が加入する場合、年間保険料は約4万3000円となっている。

高水準の暮らし、子どもを医師に育てるなど、医師の人生設計は高収入で働き続けるからこそ、成り立つもの。備えは怠りなく整えたい。

資産形成

教育や老後のため
資産を形成する

子どもの教育や自身の老後に備えるには資産形成を図る必要がある。

前述のように、「年収1000万円なら年収の20%、1500万円以上なら25%を貯蓄したい」と伊藤氏。いくら貯められそうか、自身の収入で試算してみたい。「医師1人の年収で十分な生活ができるので、配偶者も働いている場合は配偶者の収入は全額貯蓄するのが理想的です」

マイナス金利が続き、貯蓄ではあまり増えないが、「投資は基本的な知識に加え、相場環境をチェックし、管理していく必要があり、忙しい医師には負担になりかねません。時間は本業のスキルアップや休養に使い、資産形成は機動的な売買が必要になるような投資ではなく、安全な預金商品で行うという考え方もあります」

とくに教育費については必要になる時期が決まっており、目減りするのは避けたいので、預金商品で準備するのが適している。

一方、老後資金については、有利に資産形成できる制度や老後資金づくりに向く商品をフル活用したい。

資産形成を促すため税優遇が行われるのが、『NISA』(少額投資非課税制度)である。専用の口座で年間120万円を最長5年間、最大600万円まで株式や投資信託などに投資でき、得られた配当や分配金、売却益などが非課税になる制度だ。

2018年1月からは、新たに『つみたてNISA』が新設される。毎月一定の額で指定した投資信託などを、年間40万円まで、20年間、積立購入でき、得られた利益が非課税となる。一度に多くを投資するより平均買付単価が抑えられ、リスクが小さくなる効果が期待でき、長期では効率的に資産形成することも可能となる。なお、NISA、つみたてNISAは選択制(併用は不可)なので、まとまった資金を運用するならNISA、毎月の収入から投資するならつみたてNISAなど、ニーズに応じて選ぶ。

世界的に低成長の現在は投資でも満足できる高いリターンが得られるとは限らないため、NISAなどの制度を積極的に活用したい。

老後資金は
有利な商品、制度で準備

老後資金づくりには、民間の個人年金保険などに比べてお得度の高い『保険医年金』(保険医協会)に注目である。予定利率は1・259%と、かなりの高水準で、毎月10万円の掛け金を30年間払い、15年間で受け取る場合、毎月の年金額は約25万円となる(別途、決算配当あり)。

『iDeCo』(個人型確定拠出年金)も税優遇の大きなメリットがあり、老後資金作りの有力な選択肢となる。

年収の20~25%程度を確実に資産形成に回すこと、有利な制度、商品を逃さず活用することを徹底したい。

図表1● 生命保険「逓減定期保険」のしくみ
図表2● 保険医協会の休業保障保険・医師賠償責任保険
保険医休業保障共済 医師賠償責任保険
加入資格 60歳未満の保険医協会会員
週4日以上かつ週16時間以上業務に従事していること(勤務医は常勤であること)
加入日現在健康であること
※過去に給付を受けたり、脱退(減口)した場合、増口・再加入できない
●医療業務中の事故による賠償費用、弁護士費用等訴訟費用、応急手当の費用などを補てん
掛け金 ●1口2,500円~3,700円(年齢によって異なる)。満期まで変更なし
●加入口数上限は3口〜8口まで(条件により異なる)
給付 ●傷病休業・入院給付金
6日以上連続して休業した場合6日目から、1口日額6,000円(入院の場合2,000円加算)。通算500日まで
●長期療養給付金
傷病休業給付金の限度日数(500日)を超えてさらに連続して休業した場合、1口日額 自宅3,000円、入院6,000円。
230日まで(連続して一回限り)
●弔慰給付金/高度障害給付金
一口50万円
運用
その他
●満期/75歳に達した日の直後に到来する7月31日
●制度減口/6口以上の加入者は60歳※で5口に減口。4口以上の加入者は70歳※で3口に減口(※それぞれ該当年齢に達した後に到来する8月1日の前日)
保険医協会、全国保険医休業保障共済会のサイトより抜粋
※保険医休業保障共済は全国一律の制度。医師賠償責任保険は各都道府県ごとに内容が異なり、扱っていない県もある。
図表3● 年収別貯蓄額シミュレーション
貯蓄年 年収と貯蓄率
1000万円 1500万円
20% 25%
1年 200万円 375万円
5年 1,000万円 1,875万円
10年 2,000万円 3,750万円
15年 3,000万円 5,625万円
20年 4,000万円 7,500万円
図表4● NISA(日本版ISA)と、つみたてNISAの概要
NISA つみたてNISA
口座開設数 1人どちらか1口座(併用不可)
開設者 その年の1月1日において20歳以上の日本在住者
非課税対象 上場株式・公募株式投資信託の配当・分配金、譲渡益 一定の要件を満たした投資信託等の配当、分配金、譲渡益
非課税期間 最長5年間 最長20年間
非課税投資額 120万円/年 40万円/年
非課税投資総額 最大600万円(120万円×5年) 最大800万円(40万円×20年間)
口座開設期間 2023年までの各年 2037年までの各年
保有商品の移行 可(ただし、つみたてNISAへは不可) 不可
図表5● 保険医年金の概要
保険医年金
加入資格 満74歳まで(増口、一時払については満79歳まで)の保険協会会員
掛け金 ●月 払:1口1万円(最高30口まで)
●一時払:1口50万円(一回の申し込み・最高40口まで)
掛金の払込中断・再開も可
給付 ●加入後5年経過すれば何歳からでも(満期年齢は80歳)給付を開始できる
●確定年金で、10年・15年定額型、15年・20年逓増型の4つのタイプから選択
●加入者に万一の際は、遺族に遺族年金または遺族一時金を支払い
●年金受給中に受給者が死亡の場合は、加入時に指定した継続受取人が残りの年金を給付
(一時金での受取も可)
●1口単位で解約し一時金受取可能
運用
その他
予定利率1.259% (2017年9月1日現在)
予定利率(最低保証利率)は1.259%、月複利で運用。毎年の引受保険会社の決算実績によっては配当が上乗せ※予定利率は経済情勢の変動等により、将来変更される場合あり
保険医協会のサイトより抜粋
  • 確定申告で賢く節税

高年収で税負担も重い。節税方法を見逃さず、
確定申告をして税金を取り戻す

控除を受ける

所得を減らせば
税率も下がる

勤務医では給与などから税金が源泉徴収されているが、所得から控除できるものがある場合は、確定申告をすることで納めた税金が還付される。また年収が2000万円を超える医師は確定申告の必要がある。

所得税は年収から給与所得控除を引いた給与所得から、各種の所得控除を引いた額(課税所得)に税率を乗じて計算される(図表1)。課税所得が多いほど税率も高くなるので、所得から控除できるものを漏れなく計上することが肝となる。

所得控除できるものにはいろいろあるが、『生命保険料控除』(図表2)は通常、勤務先が行う年末調整で処理されるので、求めに応じ保険会社から届く書類を確実に提出したい。

それ以外の控除を受けるには基本的に確定申告が必要だ。たとえば生計を一にする家族で医療費の自己負担が年間10万円以上あった場合は、『医療費控除』(図表3)が受けられる。

セルフメディケーション控除』は、定期健康診断などを受けた人が自身や家族用に一定のスイッチOTC医薬品を購入した場合、年間で1万2000円を超えた分(最大8万8000円)を控除できるものである。

さらに一部の医師なら対象になりそうなのが、『特定支出控除』だ。給与所得控除は働くためにスーツ代や書籍代などの経費がかかっているだろうという前提で控除されるもので、年収によって額が決まっているが、特定支出控除は、実際に経費としてかかった額を差し引く、というもの。給与所得控除額の1/2の額を上回った分が所得から控除される。年収1000万円超の医師では給与所得控除額が220万円で、経費(特定支出)が110万円を超えると、超えた分を特定支出控除として所得から差し引くことができる。

特定支出の対象になるのは、学会など勉強会や研修、資格取得の費用やその交通費、書籍代、スーツや作業服の費用などで、仕事に関連することを勤務先から証明してもらう必要がある。非常勤医など、学会の費用を個人で負担している場合などは対象になるケースもあるだろう。

さらにマイホームの取得やリフォームなどで住宅ローンを借り入れた場合、一定の要件を満たせば、『住宅借入金等特別控除』(住宅ローン控除)が受けられる(図表4)。平成26年以降の住宅取得などでは最長10年間、年末時点の住宅ローン残高の1%・最大40万円(住宅によっては20万円が上限)が控除される。これは所得控除ではなく、所得税から控除される『税額控除』で、所得税100万円の人が40万円の住宅ローン控除を受けると、40万円が還付される。初年度は確定申告、2年目以降は年末調整で手続きできる。

老後資金づくりで
節税を図る

老後資金をつくりながら節税を図れる制度もある。『iDeCo』(個人型確定拠出年金)だ。

毎月一定の額を積み立て、60歳以降に年金か一時金として受け取るもので、掛金(積立金)は全額、所得控除される。勤務医(第2号被保険者)で勤務先に企業年金の制度がない場合は年間27万6000円など、掛金には上限がある。所得税率が33%(課税所得が900万円超1800万円以下)の人が年間27万6000円を積み立てれば、所得税だけでも単純計算で9万円以上の節税効果がある。計画的な老後資金づくりもでき、メリットは大きい。

節税を意識することも資産形成において重要なポイントだ。医療費控除や住宅ローン控除は過去5年まで遡って申告できるので、漏れがないかも含め、点検してみたい。

図表1● 節税になるしくみ
図表2● 生命保険料控除で所得控除から差し引ける額(2015年以降払込みの場合)
所得税 住民税
区分 年間払込保険料額 控除される金額 年間払込保険料 控除される金額
一般生命保険料・
介護医療保険料・
個人年金保険料
(税制適格特約付加)
20,000円以下 払込保険料全額 12,000円以下 払込保険料全額
20,000円超
40,000円以下
(払込保険料×1/2)
+10,000円
12,000超
32,000円以下
(払込保険料×1/2)
+6,000円
40,000円超
80,000円以下
(払込保険料×1/4)
+20,000円
32,000円超
56,000円以下
(払込保険料×1/4)
+14,000円
80,000円超 一律40,000円 56,000円超 一律28,000円
各控除の適用限度額は所得税40,000円・住民税28,000円、3つの控除を合計した適用限度額は所得税120,000円・住民税70,000円。
伊藤氏提供資料
図表3● 医療費控除のしくみ
伊藤氏提供資料
図表4● 住宅借入金等特別控除の控除期間及び控除額の計算方法(例)
住居の用に供した年 控除期間 各年の控除額の計算
(控除限度額)
平成26年1月1日から
平成33年12月31日まで
10年 1から10年目年末残高等×1%
(40万円)
(注)住宅の取得等が特定取得以外の場合は20万円
平成29年分以後の確定申告において適用が受けられる
図表5● iDeCo(個人型確定拠出年金)で所得控除から差し引ける額
伊藤氏提供資料
  • iDeCo(個人型確定拠出年金)とは?

節税しながら積み立て、増やす。
運用益も非課税、受取時にも税優遇がある

節税効果を得ながら
リスクを抑えて
老後資金を準備する

iDeCoは毎月5000円以上1000円単位で、老後資金を積み立てていくもの。

掛金が全額所得控除される以外に、運用で得た利益も非課税で、税金を引かれずに複利運用されるため効率よく増える可能性がある。将来、一括で受け取れば退職所得控除、年金として受け取れば公的年金等控除が受けられ、税負担が軽減される。専業主婦(第3号被保険者)も利用可能で、運用益非課税、受取時の税優遇は受けられる(所得がないため、所得控除はなし)。

金融機関が指定した預金商品、保険商品、投資信託などの中から、自身で商品を選んで運用する。投資信託にはリスクも伴うが、毎月一定額で継続的に投資することでリスクを抑えられ、長期で続けることでじっくり増える期待ももちやすい。大きく増えれば、運用益が非課税になるメリットも生きる。国内株に投資する商品と、外国株に投資する商品を組み合わせるなど、資産分散を図るといい。

『つみたてNISA』もあるが、所得控除と受取時の税優遇があるiDeCoが有利だ。ただしiDeCoで積み立てられるのは60歳までなので、60歳以降も積み立てるなら、「つみたてNISA」が選択肢となる(2037年まで投資可能)。

iDeCoのしくみ
※「元本保証型」商品もあるが投資信託等の商品の場合は元本を下回る可能性あり。
※受給開始年齢は、加入期間等に応じて決まる。