杏林大学医学部付属病院 整形外科 医局長に聞く ここから描けるキャリア

3次救急で高度外傷症例が経験でき
自分の専門分野を伸ばし活かせる環境

大学病院としてより専門性の高い整形外科診療を提供することを目指した研修プログラム、キャリアプラン、医局の特徴について伺いました。

専門性の高い学びと
働きやすさを
両立させる環境づくりに注力

杏林大学医学部付属病院
整形外科 助教
佐野 秀仁 先生(医局長)

杏林大学医学部付属病院整形外科に入局された経緯を教えてください

私が入局した頃は現在の研修制度とは違い、大学卒業後にすぐに専門の診療科を決めなくてはならなく、病院実習で体育会系の整形外科に非常に興味を持ち、また学生時代に所属していたクラブの顧問の先生が当時の整形外科の教授であり、その時の医局長の熱心な勧誘を受け、杏林大学の整形外科に2000年に入局しました。もともと外科系に興味があったのですが、なかでも整形外科は、全身の運動に関わる器官(骨・関節・筋肉・神経)と扱う領域が非常に広く、また手術は大胆かつ繊細で最新の機具を使用し非常に清潔感があったこと、さらに患者さんの年齢層は子供からお年寄りまでと幅広く、必要不可欠の分野であることが決め手になりました。また入院した患者さんが手術で元気になって帰っていく姿が多くみられることも魅力の1つでした。そこは今でも大きなやりがいを感じています。

私はさらに興味ある脊椎外科に進みましたが、診断を的確に行い専門的に手術を行い、劇的に患者さんの症状が改善することがさらなる魅力を感じています。

医局の特徴を教えてください

診療班が専門ごとに7つに分かれており、15~20年目の医師がチームリーダーとして、中堅、若手やレジデントなどが加わり3~4名で1つの班を構成しています。

整形外科の守備範囲は広いですが、現在のスタッフの数は25名と少人数です。しかしながら、チームの垣根を越えてスタッフどうしの関係も良好で、お互いに刺激し合いながら和気あいあいとした雰囲気だと思います。また自分のモチベーション次第で仕事の幅・可能性が広がる環境だと思います。国内外の病院への留学先も充実しており、博士号を取得した後にポストドクターとして海外留学する道もあります。整形外科の専門医をはじめ、脊椎脊髄病医、スポーツ医、リウマチ医、リハビリ医、骨粗鬆症専門医など、より専門特化した分野の資格を取得できると思います。

私は昨年の4月に医局長に就任しましたが、日々スタッフの働きやすい環境づくりに努めております。教室員、特に若手スタッフに積極的に声をかけ、健康状態や家庭環境なども把握するように努めています。それが日々の診療体系にも影響しますし、医局員あっての教室だと思っています。恥ずかしながら、これまで我々教室には研究を行っているスタッフの机しかありませんでしたが、去年から医員やレジデントの人数分の机を設置しました。その都度必要とされる環境を整いながら、よりよい環境を作っていきたいと思います。

後期研修の特徴を教えてください

後期研修は、新専門医制度に則したプログラムを組んでおり、大学では7つの診療チームを1か月から2カ月単位でローテーションします。1年3か月の大学での研修を終えた後、東京近郊の関連病院に2年間派遣研修をします。その後再び大学に戻り、半年後に専門医試験を受けるカリュキュラムです。最初から関連病院に出向するわけではなく大学で細やかな指導を受け、その後関連病院で経験を積むことができるのが最大のメリットで、充実したカリキュラムだと自負しています。

また当大学病院は、救急医療において三多摩地区の基幹病院としての役割も担っており、3次救急を担う高度救命救急センターを有しています。重度な外傷患者が搬送されてくることもあり、その際は救急医学科と連携して治療にあたっています。他の大学にはない3次救急の重度な外傷症例も経験できることも特徴のひとつです。関連病院は国内留学先も含めて18施設あり、新専門医制度に即して地域医療も学ぶこともできます。

5年後、10年後のキャリアプランについて教えてください

5年目は、整形外科の専門医を取得できる学年ですので、ひとつは専門医資格を取得することが最大の目標となります。同時にこれまでの診療経験のなかで、自分の興味のある分野が明確になってくる時期でもありますので、その分野の先生に研究への参加をアピールする時期とも言えます。

我々教室では、大学院への進学という道と臨床医でさらに専門性を高める道とどちらも選ぶことができますが、臨床医を続けながら研究を並行して行い、学位取得を目指す選択肢もあります。
私自身も臨床医と研究を両立させ、2011年に基礎研究の教室と共同研究を行い、ヒトの上肢の運動機能解析の研究で博士号を取得しました。

10年目になると、すでに専門医の資格も取得して臨床でも経験を多く積んでいる時期でもあります。自分の専門分野の手術や論文発表などにも精力的に取り組んでいる時期でもあります。また自分の後輩医師も増えてくる時期なので、若手医師の教育にも力を注いでもらうことにもなります。

整形外科は開業を目指すこともできる分野なので、それについても入局当時から毎年、将来設計や家庭環境、心境などを教授が自らスタッフに聞き、対策を練るなど非常にオープンな環境だと思います。開業して医局を離れた場合でも、同門会のつながりもあるので相互に協力し合っています。

今後取り組んでいきたいことを教えてください

いまは医局長として、スタッフの協力のもと、医局をまとめていくことに尽力しています。

我々の大学病院での初期研修医は毎年約60人いますが、そのうち約1/3以上は女性医師です。よって当科に限りませんが、外科系教室は女性医師の獲得が重要な課題のひとつでもあります。しかしながら整形外科に入局する女性医師が少ないのが現状です。現在我々教室に在籍の女性医師は3名おりますが、そのうち2人は去年入局した医師です。彼女たちは非常に仕事熱心で、逆に刺激を受け活力を頂いております。もう1人は結婚・出産を経て関連病院に現在勤務しておりますが、色々な人の協力のもと子育てと仕事を両立し、さらに研究にも勤しんでおります。これまでも女性医師が仕事を継続できるようにサポートしてきましたが、さらに女性医師が活躍できる環境を整えていく必要があると考えております。

最後にメッセージをお願いします

初期研修で外傷や骨折への対応を学ぶために整形外科を選択する研修医が多いですが、そこから入局に導くことがまだまだ不十分な状況です。外科系は多忙であることは間違いありませんが、医師の働き方改革のなかで、残業時間を少しでも減らし自己研鑽にあてられるように努めています。これは病院全体での取り組みであり、医師の働き方は改善してきていると思います。

また、当大学病院の環境は、緑豊かで適度に都会で、家族でも住みやすい場所にあります。

整形外科に関心があり向上心を持って一緒に仕事に取り組みたい人は、出身は問いません。我々教室は他大学出身医師も活躍しています。己の志ひとつで夢が叶う環境にありますので、同じ志を持つ人であれば大歓迎です。ぜひ一度見学に来てください。

2018年3月掲載

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