消化器内科は、口腔から肛門へ至る消化管と、それに連なる唾液腺や肝臓、膵臓などの領域を専門とする診療科です。内視鏡検査、CT検査、腹部超音波検査などを駆使しつつ、薬物療法やカテーテル治療などで疾患に立ち向かいます。扱う疾患としては、胃・十二指腸潰瘍、胃食道逆流症、炎症性腸疾患、肝・胆・膵疾患、消化管出血などのほか、がんの患者が非常に多く、化学療法や放射線療法による副作用によりストレスを抱えがちだといわれています。そのため、患者の精神的なケアも重視されます。消化器内科は多様な働き方が可能であり、それを反映して年収の振れ幅も大きいといえます。
データを見ると、幅広い年代において「1,000万円以上~1,500万円未満」「1,500万円以上~2,000万円未満」「2,000万円以上」のそれぞれに満遍なく分布している印象です。ただし、中堅である40代のうちから「2,000万円以上」が33%に達していることは特筆すべきでしょう。一般的には、消化器科医は極端に高水準の年収は望みづらいものの、平均的な水準の年収には達しやすいといわれています。
関東では「1,500万円以上~2,000万円未満」の割合が65%と突出しており、関西では「1,000万円以上~1,500万円未満」「1,500万円以上~2,000万円未満」「2,000万円以上」の割合がそれぞれ同程度となっています。消化器内科医の人数は関東・関西に集中していますが、それ以外のエリアで働く場合に高年収が望めるかというと、データ上はそこまでにはなっていない現状があります。
消化器内科の場合、「1,000万円以上~1,500万円未満」の割合は20~30%台、「1,500万円以上~2,000万円未満」は40~50%台(ボリュームゾーン)、「2,000万円以上」は10~20%台となっており、施設の種類や規模で明確な差はありません。あえていえば、大規模な病院より小規模な病院の方が、やや年収の水準が高いようです。
「1,000万円以上~1,500万円未満」「1,500万円以上~2,000万円未満」「2,000万円以上」のそれぞれの割合は、男性では25%、50%、23%、女性では78%、22%、0%であり、女性は「1,500万円以上~2,000万円未満」の壁をなかなか越えられていないという状況が見えてきます。子育てなどのためにワークライフバランスを重視したい方は、常勤の枠内ぎりぎりまで勤務時間を抑えるケースもあり、そうしたことがデータに反映されているのかもしれません。
消化器内科で働く医師の希望年収は、「1,500万円以上~2,000万円未満」が最も多く(53%)、次いで「1,000万円以上~1,500万円未満」(30%)、「2,000万円以上」(13%)の順となっています。
消化器内科の場合、比較的フレキシブルな働き方が可能な診療科の一つといわれており、実際にそうした選択をする医師も少なくないようです。となれば、得られる年収にも幅が出てくるのは当然だといえます。大事なことは、自らが納得できる働き方ができているか、そしてそれに見合った年収を得られているか、ということになるでしょう。
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科目によって異なる医師の年収事情について、アンケートを実施し現状を調査しました。