小児科は、新生児から思春期までの子どもを相手にする診療科です。臓器別ではなく「小児」という括りで、あらゆる疾患・症状に対応しなければならない特徴があります。また、一般的には患者が15歳以下であることから、保護者を含めたケアが必要です。治療法なども患者自身で決められないことが多く、十分な意思疎通を図れない難しさがあります。仕事はハードですが、子どもが少しずつ回復し、笑顔になっていく様子を間近で見られることは、大きなやりがいにつながるでしょう。小児科は女性医師の比率が高いだけに、その年収事情がどうなっているのか気になるところ。データをもとに見ていきましょう。
30代で67%が「1,000万円以上~1,500万円未満」にとどまっているのは他の診療科に比べて高い割合だといえますが、40代では約6割が、50代以降では約8割が「1,500万円以上~2,000万円未満」に到達しています。一方で、いずれの年代でも「2,000万円以上」がデータ上は0%というのは、他の診療科ではほとんどみられていない特徴です。
関東では「1,500万円以上~2,000万円未満」の割合が81%に達していますが、それ以外の地域についてはサンプル数が少なく明確なことは分かりません。ただ、医師数が少ない地方だから年収水準が高くなるという傾向はみられないようです。この少子化時代において、小児科が対象とする患者が地方よりも大都市圏の方に多くいるとすれば、そのことを反映した結果なのかもしれません。
病院では病床数に関わらず、「1,000万円以上~1,500万円未満」と「1,500万円以上~2,000万円未満」が50%ずつきれいに分かれています。クリニック・その他は病院より年収水準がやや高く「1,500万円以上~2,000万円未満」の割合が67%となっています。ただし、開業医を含めてもデータ上は「2,000万円以上」が存在していません。
男性のボリュームゾーンは「1,500万円以上~2,000万円未満」(79%)、女性のボリュームゾーンは「1,000万円以上~1,500万円未満」(55%)となっています。小児科は女性医師の比率が高い診療科の一つですが、それでも男性医師の年収水準の方が高い現状です。子どもの診療をする小児科だからこそ、出産・育児を抱える女性であってもよりいっそう活躍できるような環境の実現が望まれるといえるでしょう。
小児科で働く医師の希望年収は、「1,000万円以上~1,500万円未満」が最も多く(52%)、次いで「1,500万円以上~2,000万円未満」(36%)、「2,000万円以上」(5%)の順となっています。
「1,000万円以上~1,500万円未満」の割合が過半数で、他の診療科に比べて最も高い部類に入ります。おそらくは女性医師の多さも影響して、年収よりもワークライフバランス重視の傾向が強いのでしょう。40代になれば「1,500万円以上~2,000万円未満」に到達する可能性が高いので、出産・育児を経ても長く働き続けられる職場を選びたいものです。
※ご相談は無料です
科目によって異なる医師の年収事情について、アンケートを実施し現状を調査しました。